・革の製法-本ヌメ

当店の定番革は国産の栃木レザーというタンナー(革のメーカー)の本ヌメ革から作られています。

革業界にも効率重視の波が押し寄せていて、手間暇のかかるピット槽なめし革(この製法の革を本ヌメといいます)を作っているタンナーは、世界的に見ても今では数えられる程度しか残っていません。栃木レザーはそんな数少ないタンナーの一つ。頑固に伝統を貫く職人集団です。

省略可したヌメ革の製法では、本ヌメ革よりもずっと短い期間で一枚の革作ることができます。クロムなめしの革はさらに工程を簡略化できます。当店で使用する素材は、手間隙をかけて作られただけあって、簡単にはへこたれない耐久性があります。

質感の好みは千差万別ですが、丈夫で味が出る点がクロムレザーにはないヌメ革の何よりの長所だと思います。注)革はアメ色になるという記述をよく見かけますが、あめ色に変化する革は無染色のヌメ革や染料のみで薄く染められたヌメ、オイルヌメなどの一部の革のみです。

お客様に商品の5年後、10年後の姿をお伝えすることは簡単なことではありませんが、手縫いにも栃木レザーにもこだわるに値する理由があります。

使い込んで味の出たヌメ革の色と質感をたくさんの方に知って欲しい・・・その想い一心で、今日も明日も、2本の針を動かし続けます。