工具紹介の連載2回目は、菱錐(ひしぎり・ひしきり)です。
この道具も包丁と同じく、しっかりと砥いで使わないと本領を発揮してくれません。
他の道具にもいえることですが、こういった道具は買った時点では使い物にはなりません。道具を売っているお店側も、加工して使う前提で売っているので、刃幅は不均等だし、刃もついていません。
工具屋さんのいうところによると、最近は自分で加工をする人も少なくなっているとのこと。有償で加工を受けてくれるそうですが、日々の砥ぎは自分でしないと仕事になりませんし、自分で加工することで、道具の特性を知れたり、新たな使い方を発見したりもします。
使い方ですが、菱目打ち(第3回で紹介予定)で付けた目印に刺して穴を貫通させて、さらに縫い針を挿す時のガイドとしても機能させます。
2本の縫い針と菱錐を両手に持って、一針一針グッと引き締めながら縫っていきます。
縫い穴を傷つけないよう余分な角を丸め、刃を付けるところはしっかりと砥ぎ上げます。
刃幅や厚みは、端切れで試しながら好みのサイズになるまで削ります。
耐水ペーパーで砥ぐ職人さんもいますが、私は砥石で砥いでいます。砥石がガジガジになってしまうので本当は専用の砥石を用意した方がいいのかなぁとも思いますが、都度面直しをしながら、だましだまし使っています。
右2本は、左2本の倍くらいの値段。
鋼の種類が違うようで、刃の持ちが全然違います・・・。
縫いのピッチや使う糸の太さに合わせて、刃の幅や厚みが違う物を使い分けます。ステッチの美しさは、革製品作りの腕の見せ所。こういった道具の使い分けが仕上がりの美しさを分けます。
↓2015 11月更新↓