シザーケース

シザーケースのオーダーメイドが失敗する理由

シザーケースブランド経営者の立場でお話します。あなたが頼もうと思っているそのシザーケースのオーダーメイドは、高い確率で失敗します!その理由、対処法についてお伝えしていきます。


シザーケースのオーダーメイドはほとんど失敗します。理由はカンタンです



理由は、2つあります。
 
  • 理由①-多くの職人(ブランド)は、モニタリングや検証を重ねずに商品として提供しているから  
  • 理由②-多くの職人(ブランド)は作り手がシザーケースを使う時の動きやその意味を理解していないから  

どちらも作り手(デザイナー)の問題です。注文するお客様が悪いわけではありません。詳しく説明していきます。


シザーケースのオーダーメイドが失敗する理由①


オーダーメイドの商品を製作するというのは、新商品を開発するのと同じことです。
経験値をフル活用して計算して製品化したとしても、一回目からいきなりうまくいくことなんてほとんどありません。どんな企業のどんな商品だって、新商品を作る時には、いくつものパターンを試し、モニタリングもしますよね?  

オーダーメイドの革製品一つを作るために、いくつもの試作をくり返し、モニタリングをして商品を完成させたとして、いったいいくらの報酬をいただくのでしょうか?
既成品価格の2倍?5倍?それとも10倍?
おそらく、そこまでの値段をつけることは難しいでしょう。

しかし、現実的に、フルオーダーメイドの場合は、上記くらいの高い報酬をいただかないとビジネスとしては成り立ちません。にもかかわらず受けてしまう職人さんもいます。
あなたは「ラッキー!」って思いますか?はっきり言います。それは間違いです。
 

安値なオーダーメイドで失敗する経緯


〈パターンA〉 
 安値で受ける 
 ↓ 
 十分な検証やモニタリングを経ずに製品化
↓ 
 低品質な商品が仕上がる   

 〈パターンB〉
 安値で受ける 
 ↓
 十分な検証やモニタリングを経て製品化 
 ↓
 高品質な商品が仕上がる 
 ↓ 
 メーカーは困窮 
 ↓
 倒産 
 ↓
修理や十分なサポートが受けられない


2種類のパターンが考えられます。
どちらにしても、お客様にとって良くない結果になることが予想できます。 


シザーケースのオーダーメイドが失敗する理由②


オーダーメイドはゼロからデザインし、デザインを型紙に起こしてから製作に取り掛かります。
これがお財布やバッグであれば、職人自身の経験を活かすことができるし、お客様のいう内容もイメージがしやすいと思います。誰もが使う物ですから当然ですよね。  

ところが、これが、シザーケースのフルオーダーメイドとなると話が違います。シザーケースをオーダーメイドで注文なさるお客様の多くは、数あるシザーケースでは満足できないお客様。つまり、既製品にない形を欲しがっているのです。

 一般的なシザーケース作りでさえ難しいのに、一人のお客さまの特殊なご要望にお応えするというのはさらに難易度が上がります。なぜなら、お財布やバッグなどの一般向けの製品は、職人として培ってきたノウハウや自分の経験を活かして製作できるのに対し、オーダーメイドでは、お客様が強く求めているご要望をしっかりと読み取らないといけないから。  

これが美容師さん同士のやりとりだったら、あーなるほどね。と理解が進むのも早いと思いますが、革製品のデザイナーや職人が理解するのはハードルが高いと言わざるを得ません。

 

2、おすすめはカスタムオーダー。ちょい足しが上手な買い方です。



オーダーメイドは良くないということを書いてきましたが、カスタムオーダーはむしろ良い物とだと思います。
例えば、ダッカールの専用ベルトが無いシザーケースにダッカールベルトを追加するとか、予備のコームを多めに入れておきたいから、取り出しやすさは優先しない薄いポケットを付けて欲しいとか、ベルトを少し短めに作って欲しいとか。  

このようなオーダーだったら、作り手の側の計算の範囲内で作れる為、追加料金を抑えることができ、元々のデザインや機能性を損なうことなく現実的に作ることができると思います。
もちろん、できることとできないことは作り手側にしかわからないことがありますので、デザイナーや職人の意見も聞きつつ、良い方法を探っていくのがベターです。  

 

3、それでも弊社ではオーダーメイドを受けています。その理由は?


ここまでオーダーメイドが失敗すると書いてきましたが、それでも弊社はフルオーダーを受け付けています。あれ?おかしいじゃん。矛盾してるよ!ごもっともです。しかし、それには理由があります。

 

オーダーメイドを受ける理由は新商品開発!


見出しの通り、新商品開発を兼ねてオーダーメイドを受けることで、作り手側もメリットを受けることができます。そうして作り手もきちんと利益を出せば、お客様のサポートを充実させることができ、より良い商品開発ができて恩返しすることができます。

 世に出回っていないけれど需要がある商品ってたくさんあると思うんです。そういうものを探しているお客さまも多い。
そういう商品を提案することで、職人にスムーズに作ってもらうことができて、その結果、お客さまが受け取る商品のクオリティもおのずと上がるというわけです。

 ただ、この考え方だと欠点もあって、あまりに特殊なケースだと実現が難しい場合があります。その点は職人やデザイナーとよく話し合って、デザインのメリットやデメリットを踏まえた上で依頼するかどうかを考えるのがいいと思います。

 当店では、これは売れる!と判断した商品に関しては、オーダーであっても結構お安くしてしまっていたりもします。その後商品化し、当店の売れ筋商品になったなんていう経緯の商品もちらほらあります。

 当店のデザイナー兼職人は美容師出身です。

シザーケースに関してのノウハウと現場での使い方に対する理解は誰にも負けません

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